F1テスト走行 富士スピードウェイ DRY
本日はCTLにとって記念すべき1日となりました。それはなんと1985年型ロータス97Tルノー(C/N:97T/1)と1981年型ロータス88B(C/N:88B/2)の2台が富士スピードウェイでテスト走行を行ったのです。
88Bに関しては、1981年のイギリスGP予選にのみ姿を見せたもののレギュレーション違反に問われたマシンなので日本上陸はもちろん、実際に走行を行うなど歴史に残る快挙でした。
97T/1は昨年のF1日本GPのレース前にブルーノ・セナがドライブしたことで話題になったマシンそのものです。
またこのテストに向け本国クラシック・ティーム・ロータス(CTL)の、チーム・マネージャーを務め、首脳陣のひとりであるクリス・ディナージも来日。
このクリスさん、1981年末にティーム・ロータスにメカニックとして加入し、デ・アンジェリス、セナ、ピケ、ドネリー、ハーバート、ハッキネンを担当したという経歴の持ち主です。1982年、中嶋悟が全日本F2王者を獲得したご褒美として、ロータス91をテストした時にも現場にいた人物です。このことからもCTLと弊社が代理店という垣根を超えた付き合いだということが伺えます。
今回のテストを担当したのは日本人として唯一HF1(FIA Historic Formula One)に参戦し、昨年はなんとHSCC HistoricF2のシリーズチャンピオンも獲得した久保田克昭氏。久保田氏が、かつて愛機としていたロータス88B/2を日本に持ち帰ったという話は、現在発売中のレーシングオン誌でご存知の方も多いでしょう。
さらに、昨年の全日本F3で、トムスの厚い壁を破りMJハナシマレーシングで1勝を挙げたF3最速男の山内英輝選手もテストに参加。88B、97Tの順でドライブを担当しました。
■1981年型ロータス88B(C/N:88B/2)
このマシンは1981年のイギリスGP予選に出走したマンセル車なのですが、予選初日に88Bがレギュレーション違反とされたため夜通しで87にコンバートされたという経歴を持ちます。
ボディサイドに書かれている「COURAGE」とは、イギリスGPのために獲得したビールメーカーです。タバコ会社の広告は禁止ですが、アルコール会社の広告は問題ないようです。
また、ツインシャシーと呼ばれるだけあり、88には2ヶ所にシャシープレートが付いています。外側のプライマリーシャシーのプレートは、エグゾーストパイプの後ろのメンバー上に装着。88B/2という打刻が確認できます。
この88Bは不運な結果に終わった81年イギリスGPでのナイジェル・マンセル(地元GPだったが予選落ち)の悲哀を今に残す、貴重な個体といえるでしょう。マンセル・ファンには必見です。
■1985年型ロータス97Tルノー(C/N:97T/1)
この97Tは、1985年シーズンにチーム・ロータスで使用された1号車(97T/1)で主にスペアカーとして使われていたマシンです。モナコGPでは、デ・アンジェリスのドライブにより3位に入った経歴を持っています。
あのアイルトン・セナが雨のエストリルで初優勝を飾ったマシーンとしても有名な97Tは、全部で4台製作されていますが実働状態にあるのはイギリスCTL所有の1台と、この久保田氏のマシンのみ。ということで、この97Tの実走は中々お目にかかれるものではありません。
さらに、今回ビックリしたのが、97Tのペイントワークが手塗りだったことです。
72や79など、さらに古いマシンが手塗りだったことはご存知の方も多いと思いますが85年に投入されたF1が手塗りだったとをご存知の方は、あまりいらっしゃらないのではないでしょうか。
近年、速さと軽さを追及するF1の世界ではカッティングシートが主流ですが、80年代中盤になっても未だ手塗りだったことに伝統美を感じます。
テストは順調に進みマシンも徐々にタイムアップを果します。ギア比など細かいセッティングは行なっていないものの、「ミニF1」と呼ばれる現役のF3マシンとほぼ同タイムである「1'36.27」を記録。さらにストレートエンドのトップスピードは290キロオーバー。約30年前のF1とは思えないマシン性能です。
テストも無事に終わり、2台の走行を目の当たりにしたことで改めてLotus F1の歴史や伝統を実感しました。
今後このF1マシンは、イベントでのデモ走行や弊社グループ会社である「
PLANEX CARS」での展示など、皆様にお披露目する機会も増えると思います。
そんな極秘情報も弊社のWEBで告知していきますのであの心地よいF1サウンドをお聞きになりたい方はお見逃しなく。